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"争続"を避けるには・・・? 50代こそ知っておきたい相続の基礎知識【後編】

マネー
2019.11.06

親が高齢期を迎え、相続について考え始めることも多くなる50代。相続に関する手続きは予想以上に大変です。ちゃんと自分の遺志を残す方法や、相続財産の税負担を軽減する方法もあるため、早いうちから考え始めておきましょう。

相続は理解しておくべき内容が多いため、前編・後編に分けて解説します。後編では、「遺言」や「相続税」、さらには家族で円満に相続を行った事例について紹介します。

借金があっても財産を相続できる?50代で知っておきたい相続の基礎知識【前編】

~目次~
1. 無効な遺言書にならないように!ポイントを解説
2. 意外とかかる相続税!押さえておきたいポイントは?
3. 実は相続税の負担を軽減する方法がある!
4. 親子で話しておきたいこれからのこと。切り出し方は?
5. 相続は話し合いから始める

無効な遺言書にならないように!ポイントを解説

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自分が亡くなったあとの、財産の処理方法などを伝えることを「遺言」といいます。遺言の内容は通常「遺言書」という形でのこされ、満15歳になれば誰でも行えます。

最近では、エンディングノートや終活が普及していることもあり、遺言書を書く方も増えています。しかし、せっかく自分の想いをそこに凝縮しても、法律に定められた要件や形式を満たしていなければ無効になってしまいます。

遺言書に法的な効果が現れるのは、遺言書を残した本人(遺言者)が亡くなってからです。なので、内容に不明瞭な部分があっても、その真意を本人に確認できません。したがって、遺言書の形式と内容については、法律で細かく定められているのです。

遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があり、自分に合った方式を選択できます。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者が自筆で作成します。特別な手続きは不要ですが、遺言者が亡くなったあとに家庭裁判所で、検認と呼ばれる手続が必要になります。 最も手軽に書ける方法ですが、無効になる可能性もあるので、専門家などにチェックしてもらうとよいでしょう。

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自筆証書遺言を書く際のポイント

手軽に残すことができる半面、無効になりやすい自筆証書遺言。せっかく残した遺言書が無効にならないためにも、次の点に注意しましょう。

(1)自筆
財産目録を除き、すべて自分の字で書く必要があります。
パソコンで作成したもの、家族や第三者に代筆してもらったものは無効です。
(2)日付
作成日が特定できる必要があります。「2019年10月吉日」のような記載は無効です。
((3)署名・押印
署名が戸籍どおりの氏名でなかった場合でも直ちに無効となる訳ではありませんが、疑義を避けるため、戸籍通りの氏名で書いた方が良いでしょう。押印は認印でも良いとされますが、実印が望ましいといえます。また、自筆によらない財産目録を添付する場合には、その目録のすべての頁に署名・押印をすることが必要となります。
(4)加除訂正
加除訂正(=追加、削除、訂正)を行う場合は、法律で定めた方式どおりにする必要があります。たとえ面倒でもすべて書き直した方が確実でしょう。

なお2020年7月10日から、法務局により自筆証書遺言を保管する制度がスタートします。この制度を利用した場合には、検認が不要となります。ただ、制度が施行される前に保管の申請は行えないため、注意が必要です。

<参考>
法務省:法務局における遺言書の保管等に関する法律について

公正証書遺言

公正証書遺言は、2人の証人が立ち会い、公証人が遺言者から遺言の内容を聞き取って作成します。作成した遺言書の原本は、公証役場で保管されます。

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秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言者が作成して封印した遺言書を2人の証人とともに公証役場に持ち込みます。証人や公証人に遺言の内容は公開しないため、遺言書の存在だけが分かることになります。

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以上の3種類をまとめると次の表になります。

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遺言書は専門家によるチェックがないと無効になる可能性があります。手続きは若干面倒ですが、公正証書遺言ならば専門家がつくるので無難でしょう。

この3つの遺言をまとめて、普通方式遺言といいます。この他、死が差し迫っている場合や、船舶や飛行機の中など、普通方式遺言を残せない場所にいる場合に残せる「特別方式遺言」もあります。

意外とかかる相続税!押さえておきたいポイントは?

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遺産を引き継ぐにも税金がかかります。それが「相続税」です。相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内。いざ相続をするときになってあわてないように、相続税について理解しておきましょう。

相続税も控除される

相続税にも無条件で一律に適用される基礎控除があります。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)
(例:相続人が2人の場合)
   基礎控除額=3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円

なお、相続には基礎控除の他にも多くの控除がありますが、今回は簡単に概要を説明するために基礎控除のみ紹介いたします。

相続税の計算方法

相続税の税額計算は、まず、相続財産の総額から非課税財産の価額や基礎控除の額などを差し引いて課税遺産総額を計算します。

課税遺産総額を法定相続分で取得したと仮定して、各相続人の相続税額を計算。それらを合算して相続税の総額を出します。そして、相続税の総額に実際の財産取得割合をかけて算出した金額から、配偶者控除等の税額控除の適用を受けた金額が、相続の際にかかる各人の税額です。

【事例】8,400万円の遺産がある家族の場合

被相続人が残した財産の総額は8,400万円。遺言により以下の配分となった。 配偶者に50%の4,200万円、長男に25%の2,100万円、長女に15%の1,260万円、次女に10%の840万円

①財産総額から基礎控除額をマイナス
8,400万円-{3,000万円+(600万円×4人)}=3,000万円

②3,000万円を法定相続分に応じて割る
配偶者 :3,000万円×1/2=1,500万円
長男    :3,000万円×1/6=500万円
長女    :3,000万円×1/6=500万円
次女    :3,000万円×1/6=500万円

③相続税の総額を計算(税率および控除額は国税庁のページ参照)
配偶者 :1,500万円×15%-50万円(控除額)=175万円
長男    :500万円×10%-0円(控除額)=50万円
長女    :500万円×10%-0円(控除額)=50万円
次女    :500万円×10%-0円(控除額)=50万円

相続税総額=175万円+50万円+50万円+50万円=325万円

<参考>
No.4152 相続税の計算|国税庁
No.4155 相続税の税率|相続税 |国税庁

④相続税総額を実際の配分割合で割る
配偶者 :325万円×50%=162万5,000円
長男    :325万円×25%=81万2,500円
長女    :325万円×15%=48万7,500円
次女    :325万円×10%=32万5,000円

さらに、一定条件に当てはまる相続人は、相続税額から一定額を差し引ける税額控除を受けられます。特に配偶者の場合、相続した財産が1億6,000万円以下、または法定相続分のいずれかの多い金額まで、非課税となる配偶者控除が適用されるため、上記の例では配偶者が納付すべき相続税は0円となります。

<参考>
No.4158 配偶者の税額の軽減|国税庁

「基礎控除額を超える財産なんて保有していない」というご家庭もあるかと思います。ただ、親が都内に一戸建ての家を持っていて、それを相続する場合は注意が必要です。土地の面積や路線価によって差が出ますが、評価額が基礎控除額を超えることになる可能性が高いためです。

あらかじめ財産状況を整理し、相続税を払う可能性があるか確認してみましょう。また、相続税の対象となる可能性が高いことが分かった場合は、専門家への相談を検討してください。

実は相続税の負担を軽減する方法がある!

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相続税の負担について早いうちから検討することで、相続税額を何千万円も減らせる場合も。相続が生じるまでの期間が長ければ長いほど、多くの対策を取り入れることができます。早い時期から検討を始めましょう。

生前贈与

生前に財産を贈与して、相続税の負担を軽減する方法があります。この方法は手軽なうえ、年間110万円の基礎控除があるため、多くの方が活用しています。

財産評価を下げる

賃貸マンションやアパートを建築・購入することで相続税の負担を軽減する方法があります。例えば、1億円を現金で保有していれば、相続時の財産評価額も1億円のままですが、この1億円で賃貸アパートを建築し第三者へ賃貸すれば、その財産評価額を大幅にダウンさせることができる場合があるのです。

これらはほんの一例です。ほかにも相続税の控除や、税負担軽減のやり方があるので相続に詳しい専門家に聞いてみましょう。

親子で話しておきたいこれからのこと。切り出し方は?

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遺言書を残すのはお金持ちの人だけ、と考えがちですが、遺産が少なくても相続が「争続」になるケースは多く発生しています。争続とは、遺産相続に関して親族で揉めてしまうことです。また、争続にはならずとも、相続手続き自体が煩雑になってしまうこともあります。つまり相続は、親が元気であるうちに家族で話し合っておくべきことなのです。

とはいえ、まだ元気である親に対してストレートに相続について話そうとすると、怒りを買ってしまうケースも少なくありません。どのように切り出せば波風を立てず話せるのでしょうか? 例えば 「相続や生前贈与について、親子で話し合ったほうがいいって知り合いの税理士が言っていたよ」「知り合いが相続トラブルで揉めている」「テレビで相続が問題で一家離散になった家族が紹介されていた」と、知人やテレビ、新聞など第三者の意見や経験をあげてみるという方法があります。

相続は話し合いから始める


日本公証人連合会の発表によると、平成30年に作成された公正証書遺言は11万471件です。平成21年の7万7,878件からは増加傾向にありますが、高齢者の人口と比較するとまだ少ないといえます。

日本では「死」に関する話をタブー視している部分があります。しかし、遺言書を残すためにはまず話し合いが必要です。話し合いは、自分の気持ちをもっとも正確に伝えることができ、周囲の人間が正確に把握できる最善の方法です。

ぜひ、話し合う機会を設けてみましょう。

<参考>
No.4152 相続税の計算|国税庁
No.4155 相続税の税率|相続税 |国税庁
平成30年の遺言公正証書作成件数について | 日本公証人連合会


監修・鳥飼総合法律事務所 弁護士 瀧谷耕二さん
(記事提供元:サムライト株式会社、画像提供元:ピクスタ株式会社)

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